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急性扁桃炎

扁桃腺の急性炎症で、細菌やウイルスにより扁桃組織が腫れて痛みや発熱を起こします。のどの両側にある口蓋扁桃と言う所が炎症の中心となりますが、扁桃腺は鼻の奥や舌の付け根などにもあるため、これらが炎症を起こすこともあります。本来、扁桃組織は細菌やウイルスから体を守るための免疫の場所となりますが、体力の低下などで抵抗力が弱まると感染を起こしてしまいます。
抗生剤の内服、うがいが有効な方法です。耳鼻咽喉科ではのどの消毒、ネブライザー吸入療法(薬剤を粒子状にして口腔内に噴霧)を行うため、のどが痛い時、風邪を引いた時には耳鼻咽喉科を受診するのが早く治る近道です。症状がひどい時は抗生剤の点滴を行います。

慢性扁桃炎

急性扁桃炎を繰り返し細菌感染が慢性化したため、扁桃腺が細菌の住処になってしまった状態です。特に溶連菌という細菌により、まれに全身症状(腎炎、関節炎など)を起こす事があります。繰り返す場合は、手術により扁桃腺を摘出するのが良い方法です。

扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍

扁桃炎から炎症が波及して、扁桃腺の裏に膿が溜まった状態です。通常片側に起こり、口を開けられない、食事がのどを通らないなどの激しい症状を伴います。切開して排膿することが早く治る方法です。

急性喉頭蓋炎

喉頭蓋という食道と気管を分けるひだの炎症です。呼吸苦と摂食障害が起こります。まれに腫れによる気道狭窄で窒息が起こり死に至ることもあります。とても怖い病気ですが、のどの奥の炎症なので、内科では診断が困難です。のどの痛みがひどい時には耳鼻科を受診したほうが安心です。

伝染性単核球症

EBウイルスというウイルスに感染することにより発病する病気で、のどの痛み、発熱、首のリンパ節腫脹、肝機能障害が症状として起こります。皮膚の発疹を伴うこともあります。子供には少なくて20歳代、30歳代で約半数以上を占めます。口蓋扁桃に白い膿がべったりと付着することが多いため、これが特徴的な所見と言えますが、血液検査によりはっきりわかりますので、検査を受けることをおすすめします。治療としては、解熱剤、肝臓を守る薬などが対症療法として行われ、だいたい1〜2週間で回復します。ただし、肝機能が正常化するのには2ヶ月程かかりますので、しばらく安静にする必要はあります。まれに重症化することがありますので、耳鼻科を受診したほうが安心です。

声帯ポリープ

声帯という2本の白い帯状のひだが、発声時に振動することで声が出ますが、ここにポリープが出来ると声がかすれます。風邪で咳がひどく出た時、カラオケなどを歌い過ぎた時、などの急性炎症後に声帯が出血してポリープが出来ることが考えられます。声のかすれが続く場合、耳鼻咽喉科を受診して声帯を見てもらったほうがよいでしょう。声の改善のためには手術が必要なこともあります。

ポリープ様声帯

長期に渡って声を使いすぎたり、喫煙によるのどの刺激などがあると、声帯がブヨブヨに腫れてしまいます。初期には声のかすれだけですが、進行すると声門(のどの空気の通り道)も狭くなるため、のどの圧迫感、息苦しさなどを自覚することがあります。声帯の安静を図った後、改善しなければ手術を選択します。

声帯結節

左右の声帯が当たる所にこぶが出来て、声がかすれます。声を酷使する人(歌手、保母など)に多い病気です。声帯の安静を図った後、改善しなければ手術を選択します。

咽喉頭腫瘍

まれに咽喉頭の腫瘍があります。良性から悪性まで色々種類があります。痛みが長引く、食事が引っかかる、声がかすれる、痰に血が混じるなどの症状が続く場合は耳鼻咽喉科で診察を受けてください。

喉頭癌

声帯に癌が出来ると声がかすれます。比較的早期に症状が出ますので、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。喉頭癌はほとんどがタバコによるものですので、喫煙者の場合、特に注意が必要です。

咽頭癌

まれに咽頭癌があります。のどは上咽頭、中咽頭、下咽頭と分かれていますが、その場所に応じた症状が出てきます。耳鼻咽喉科医による内視鏡での観察と生検が必要です。

食道癌

食道上部の癌の場合、のどに症状が出ることがあります。実際に食事がのどを通らない、飲み込む時に痛みがあるなどの症状があれば耳鼻咽喉科を受診してください。

咽喉頭異常感症

咽喉頭異常感症:のどに何かが引っかかる感覚は意外と多いですが、検査(内視鏡によるのどの観察、バリウムによるのどの造影)をして腫瘍などが否定された場合をいいます。いわゆる神経過敏状態なので、ほとんど心配ありません。鼻水や痰、のどの乾燥、見えないような炎症などがその原因ですが、はっきりしないことが多いです。腫瘍が無いということがわかれば、安心感からのどの違和感が消失することも多いので、耳鼻咽喉科を受診してください。

アフタ性口内炎

口腔内の粘膜(舌、歯肉、唇や頬の内側など)におきた炎症です。症状としてはのどの痛み、食事がしみる、食物が飲み込みにくい、味覚低下などがあります。機械的損傷(入れ歯が合わない、歯が粘膜にあたる)、口腔衛生不良(水分や食事の摂取不良、唾液の分泌が不足、歯みがきやうがいの欠如)、全身状態の低下(病気・過労・体力低下、 ビタミン不足、貧血など栄養状態が悪い状態)などが原因となります。口の中を傷つけないようにし、口の中を清潔に保ち、体調を整えることが重要です。ベーチェット病などの全身疾患、カンジダやヘルペスなどの感染による口内炎などもありますので、耳鼻咽喉科を受診してください。

舌癌

舌癌は舌の側面や先端に潰瘍を形成し、次第に隆起してきます。痛みや出血を伴い、さらに進行すると顎下部や頸部リンパ節などへ転移します。虫歯や義歯による舌への慢性刺激、喫煙、などが誘因となります。初期には口内炎のように見えますが、組織を調べることにより診断がつきますので、早期受診をおすすめします。

味覚障害

舌の炎症、味覚神経の障害などが原因となります。貧血、ビタミン欠乏、薬の副作用、歯の金属の詰め物などが原因となることもあります。特に体内に存在する微量元素である亜鉛などのバランスがくずれると味覚障害が発症すると言われていますので、治療として亜鉛製剤を用いることが多いです。

いびき

のどが狭かったり、のどちんこが振動するといびきが起こります。空気の通り道である気道の狭窄音です。疲労時、アルコール摂取時、頭の向き、肥満などの原因によりいびきは大きくなります。他人に迷惑がかかりますし、ひどくなると睡眠時無呼吸症候群に移行して、全身状態に悪影響を与えることになるため、早めに検査を行うことが大事です。

 1.横向きに寝る
 2.ダイエット
 3.口、あごの回りに筋肉をつける

以上3点を心掛けてください。さらに、耳鼻咽喉科で点鼻薬を処方してもらい、寝る前に使用するのも効果的です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時に呼吸が数秒間停止する病気です。睡眠時に、のどが完全に狭窄してしまい平常呼吸では息が出来ない状態です。睡眠時に呼吸停止を繰り返して睡眠過程が障害されるとともに、酸素を吸いませんので血液中の酸素濃度が低下します。夜間に熟睡が得られませんので、昼間の眠気、慢性的な疲労などが起こってきます。さらに重症化すると高血圧、心不全、肺の循環障害により突然死を引き起こすとまで言われています。自分では気付かない事もあるので家族のすすめがあればすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
検査としては終夜睡眠ポリグラフィ(アプノモニタ)という器械で睡眠中のいびき、呼吸状態、酸素の濃度、心電図などを測定します。簡易型の器械もあり、自宅でのモニターも可能です。また、内視鏡、レントゲンなどで、のどや気道の狭窄部位を調べます。
治療の目的は狭くなっている鼻咽頭腔、気道を広げることです。持続的陽圧呼吸(CPAP)という夜間酸素マスクを装着して呼吸をサポートする方法がありますが、これは狭くなっている鼻咽頭腔を陽圧呼吸で広くすることができるので、睡眠時無呼吸の症状を改善するにはとても有効です。口腔装具(OA)を付けたり、手術によって鼻咽頭腔、気道を広げることもできます。鼻腔の狭窄には鼻中隔矯正手術、下鼻甲介切除術が行われ、咽頭の狭窄には口蓋扁桃摘出術と口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)が行われます。これらの手術は入院する必要がありますが、最近ではレーザーを用いた外来での日帰り手術も可能となりました。どの方法が良いかは、個人によって異なるため、耳鼻咽喉科医と相談してください。